おたふくかぜワクチンの調査にご協力をありがとうございました。

日本における「おたふくかぜ」とワクチンに関する問題を説明するページを準備しました。この調査の大切さについて理解を深めて頂けたら幸いです。

おたふくかぜについて

おたふくかぜはムンプスウイルスの飛沫感染で起こる病気です。急に耳の下(耳下腺)が痛くなり、腫れてきます。高い熱を出すこともあります。感染力が強く、流行が起こるとワクチンを受けていない人のほとんどが感染します。0歳は少なく年齢とともに増加し4歳頃の罹患が最も多くなります。

ワクチンを受けていない人の頻度が増えると、また流行が起こるため、日本では4~5年周期で流行しています。ムンプスウイルスは耳下腺だけでなく、全身の組織に炎症を起こし、睾丸炎、無菌性髄膜炎、内耳炎(ムンプス難聴)、脳炎などを起こすことがあります。おたふくかぜに対する有効な治療薬はなく、おたふくかぜにかかってから合併症を避けることも出来ません。


おたふくかぜによる難聴

おたふくかぜにかかった人の数百人から1000人に1人程度、ムンプス難聴という高度の難聴になることがあります。多くの場合は片側のみの難聴ですが、現代の医学では治すことが出来ません。聞こえだけでなくめまいや耳鳴りを伴うこともあります。


おたふくかぜはワクチンで予防できる病気

おたふくかぜには発病を防ぐワクチンがあります。日本では定期接種となっていないため、ワクチンを受けていない人の中でおたふくかぜの流行がなくなっていませんが、おたふくかぜのワクチンを定期接種している国では、おたふくかぜが子どもで流行することはなく、ムンプス難聴になることもありません。世界では麻しん・風しん・おたふくかぜの3種混合ワクチン「MMRワクチン」の2回接種が標準で行われています。先進国のうち、おたふくかぜのワクチンを定期接種にしていないのは日本だけとなってしまいました。


おたふくかぜワクチンを定期接種に変えます!

日本でMMRワクチンを行っていない理由は、30年前に開発されたばかりのMMRワクチンを使用した時に、副反応と考えられる「無菌性髄膜炎」が多発したからです。このため数年でMMRワクチンの使用が中止となりました。

「無菌性髄膜炎」とは頭痛やおう吐、発熱を起こす病気です。1週間程度の経過で後遺症の心配はなく治ります。これはおたふくかぜワクチンの副反応として,1,600~2,300人に1人程度あると報告されていますが、おたふくかぜに自然に感染すると、ワクチンによる副反応の約10~100倍の頻度でこの無菌性髄膜炎になります。

現在日本中でおたふくかぜワクチンを子どもたちに接種している小児科医の実感では、副反応の発生はほとんど無いと言っても良いぐらいですが、日本で定期の予防接種にするかどうかの検討をしてもらうためには、この調査が必要と言われています。

そこでいまお子さんに予防接種を行う医療機関が協力して、大規模な調査を行っております。この結果が出るまでには時間がかかりますが、日本から おたふくかぜによる新たな難聴のお子さんがゼロになるために、心を一つにして頑張ります。